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記者の眼

主戦場は宇宙、日本に必要なのはお金と覚悟

根本 浩之=日経NETWORK 2017/08/28 日経NETWORK

 情報通信研究機構(NICT)が宇宙と地表との間の衛星量子通信に成功した。衛星量子通信が実用化すれば、大陸をまたがるような長距離の間で「絶対に破られない」強固な暗号通信が可能になる。国家レベルで研究に取り組んでいるところもある中で、今回の成功はNICTを中心とする日本の研究者が長年地道に開発を進めてきた成果が実を結んだといえる。

低軌道衛星との間の量子通信に成功したNICTの地上局
(出所:NICT)
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足かけ20年の成果

 量子通信では、光の最小単位である「光子」を使って通信する。光子とは光を含む電磁波を構成する素粒子を指す言葉で、波と同時に粒子としてふるまう「量子」としての性質を持つ。この光子単位で制御することで、これまでの光通信を超える未来の通信が実現できる。

 例えば、今の光は何十万個という大量の光子が集まって一つの光波形を構成している。この一つひとつの光子に1と0の情報をもたせられれば、はるかにエネルギー効率の高いデータ伝送が可能になる。

 また、光子を抜き取って盗聴しようとしても、途中で何らかの操作をすると受信側に必ず伝わる。この特徴を生かすことで、盗聴を絶対に防げる秘密の通信も実現できる。

 この量子通信について、日本で学術的な研究が始まったのは1990年代のこと。その後、2000年代に入ってからは、国家レベルでの研究が始まった。

 地上で量子通信の研究を続ける一方で、電波の代わりに光を使う光衛星通信の実験も進んできた。1994年に技術試験衛星「きく6号」が地上と静止衛星間で光通信の実験に成功。2005年8月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した光衛星間通信実験衛星「きらり(OICETS)」を打ち上げ、2005年12月に静止衛星「ARTEMIS」との間で双方向光衛星間通信実験を実施した。さらに、2006~2009年にNICTの光地上局との間で世界初の光通信実験を実施した。

 この量子通信と光衛星通信を組み合わせたのが、今回NICTが実現した衛星量子通信だ。実証実験に使った人工衛星「SOCRATES(ソクラテス)」は2014年5月に打ち上げられたもの。このSOCRATESは高度600kmという低軌道を回る衛星で、地上から見た場合の移動速度が非常に速い。地平線から姿を見せて反対の地平線に消えるまで、わずか5~6分しかない。この短い時間で、大気の揺らぎなどの条件を補正しながら通信しなければならず、静止衛星との間や衛星間よりも技術的に難易度が高い通信となる。

高度約600kmの低軌道を周回して光子を地上に送った人工衛星「SOCRATES」
(出所:NICT)

 NICTではまず、このSOCRATESとNICTの地上局との間で1.5ミクロンの光レーザーを使った光衛星通信を2015年に成功させた。その後、2016年8月5日の深夜22時59分41秒、衛星がNICTの地上局に接近した前後の2分15秒間に量子通信をトライして成功した。

 足かけ約20年をかけて、ようやくここまでたどり着いたのだ。

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