先日、ネットワーク機器メーカーの米ブロケード コミュニケーションズ システムズでソフトウエア製品のマネージメントを務めるジェームズ・クウォン氏の話を聞く機会があった。主なテーマは、同社が「第3のプラットフォーム」時代のネットワークインフラとして掲げているコンセプト「New IP」だった。その説明の中で、興味深い話題が出た。

 最近同氏が顧客に頻繁に尋ねられる質問があるという。それは「自社のネットワークには、SDN(Software-Defined Networking)アプローチがよいのか、それとも分散型ルーティングアプローチがよいのか」というものだ。

 SDNアプローチとは、パケットの流れ(フロー)を「SDNコントローラー」という中央の装置が能動的に、明示的に決定する集中型のネットワーク運用手法のこと。OpenFlowの登場などによって、近年注目を集めている手法だ。

 一方の分散型ルーティングアプローチは、要するに従来型のIPルーティングによる運用のことだ。個々のルーターが自律的に動作し、パケットの経路が決められる。

 ブロケードの回答は「両方の技術に投資しており、製品はどちらにも対応可能」というベンダーとして模範的なものだ。ただ、この問題設定には大いに興味をそそられた。というのも、「分散 vs 集中」はネットワーク分野(それ以外の分野でもそうかもしれないが)で古くて新しい問題だからだ。