DevOps(デブオプス)という言葉がITproに初めて登場したのは2012年。日本で広がり始めたのは2013~14年ごろだ。開発部門/担当者と運用部門/担当者が密に連携し、ビジネスニーズに応じてアプリケーションのデリバリー(提供)やデリバリー後の改変を素早く実行可能にする一連の取り組みや手法を指す。

 価値をもたらし、動作可能なソフトウエアを素早く作るアジャイル開発の発展形ともみなせる。主に開発に関わる作業を自動化するCI(継続的インテグレーション)や、ITインフラの構築・管理を自動化するInfrastructure as Codeといったテクニックを使う。クラウド環境や様々なツール/サービスの普及により、DevOpsを実践するためのハードルは低くなりつつある。

DevOpsを採用する日本企業はごく少数

 現状では、日本企業の大多数がいまだにDevOpsをスルーし続けている。調査会社のIDC Japanによると、DevOpsを採用している日本企業は6.6%、2年以内に採用する計画がある企業は5.0%で、合わせても1割にすぎない(関連記事:迅速なアプリケーション開発と運用を可能とする「DevOps」を採用している企業は6.6%―IDC)。ネットサービスを提供している企業をはじめとして、DevOpsを当たり前のように実践している例もあるが、全体としてはごく少数だ。

 ここに来て、風向きが少しずつ変わってきた。DevOpsに取り組む企業が徐々に増えつつある。その取り組みは機会を改めて紹介していくつもりだ。

 2016年7月には「DevOps推進協議会」が発足(関連記事:「DevOps」で素早いシステム改変を可能に、IBMやNECなどが協議会発足)。ベンダー主導ではあるが(ユーザー企業も参加している)、日本企業がDevOpsにどう取り組むべきかを探っていくのが狙いだ。

 筆者は、DevOpsは日本企業にとって大切な動きであり、改めて本腰を入れて導入を検討すべきではないかと考えている。一方で、DevOpsを誤解していたり、一面だけを捉えていたりする人もいるのではないかと思う。

 筆者も例外ではなく、実践している複数の人たちの話を聞いて、DevOpsに対する見方が変わった。以下、DevOpsに関して筆者なりの気づきを含めて見ていきたい。

 まずは米IBMでDevOpsを担当する、技術理事 クラウド事業 DevOps Technical Sales and Adoption CTOのSanjeev Sharma氏のインタビューを紹介する。