『「餅は餅屋に」は嘘、理想はシステム内製』と題した記事を日経コンピュータ7月9日号に書いた。記事冒頭のまとめは次の4点であった。

・「内製率」は重要な経営指標だが、情報システムの場合はあまり問われない。
・だが情報システム責任者は、内製に対する自分の方針を決めておくべきだ。
・理想は内製。そのほうが適切なシステムを早く安く実現し、維持できる。
・「ITの仕事はIT企業に」という意見は、現実がそうだとしても間違いである。

 記事の題名に使った「餅は餅屋に」と、まとめの4点目「ITの仕事はIT企業に」は同じことを言っている。

 この記事はITを利用する企業の情報システム責任者に向けて書いた。「ユーザー企業」にある「IT部門」の責任者が読者なのだが、これらの言葉を使いたくなく、といって代案を思いつかなかったので単に省いた。「IT企業」はITを生業にしている企業のことだが、この記事では情報システムの開発や保守を請け負う企業を指している。

 2年ほど前から『社長の疑問に答える、IT専門家の対話術』と題した連載を日経コンピュータで続けている。企業の情報システム責任者は社長と話ができることが望ましいが現実には難しい。そこで社長がITについて疑問を発した時にすぐ答えることで対話が続くきっかけにしよう。これが連載の主旨である。『「餅は餅屋に」は嘘、理想はシステム内製』は36回目の記事にあたる。

 つまり「社長」とはITを使う企業の経営者、「IT専門家」とは情報システム責任者を指す。情報システム責任者が「IT専門家」である必要はないが企業の中においてはそう見られているはずだからこの言葉を選んだ。細かいことを書くと「社長の疑問に答える、IT専門家の対話術」という題名は2行に分けて記載しており、「社長の疑問に答える」とほぼ同じ文字数にするため「情報システム責任者の対話術」とはできなかった。