マイナンバーの通知開始まで、あと2カ月。10月半ば過ぎから簡易書留で世帯単位に「通知カード」が送られてくる。表面に12桁のマイナンバーが記載された通知カードは、紙製ではあるが、紙幣のような透かし(すき入れ)やマイクロ文字などの偽造防止策が施された精巧なものである。

 あらゆる“団体”では、社員・職員や個人取引先からマイナンバーを集めて保管し、2016年1月以降に順次、法定調書などに記載して役所などに提出することになる。“団体”と書いたのは、民間企業だけでなく、職員に給与を支払っている政府機関や自治体も含まれるからである。政府機関や自治体は、国民・住民のマイナンバーを行政事務に利用する「個人番号利用事務実施者」であると同時に、民間企業と同じく職員の給与や社会保障に関してマイナンバーを取り扱う「個人番号関係事務実施者」でもある。後者の立場では、民間企業と変わらない対応が求められる。

 例えば、国税庁は省庁で最多の5万5000人の職員を抱える。日本最多のトヨタ自動車の6万9000人には及ばないが、JR東日本の5万人を上回る。自治体最大の東京都の職員数は1万8000人強で、JR東海や東京海上ホールディングスとほぼ同じ。福岡市は約5000人で、高島屋や日本製紙と肩を並べる。1人でも人を雇って給料を支払っている企業・団体は、個人番号関係事務実施者としてマイナンバー制度に対応しなければならない。