2015年7月に、ITproの本欄で、パブリッククラウドサービスに関するアンケート調査を行った(「“現場”が選ぶ『クラウドNo.1』はこれだ」「クラウド導入時の不満は何ですか?」)。調査には89人の方がご協力くださった。この場を借りて御礼申し上げるとともに、結果を報告する。なお調査概要と回答者の属性については、記事の末尾に示した。

 まず、クラウドNo.1は何か。No.1の定義はいろいろあるが、ここでは「今後のシステム基盤刷新やシステム開発案件で、選択肢に含めるクラウド事業者を挙げてください」という設問の回答結果から、その順位を付ける。

 圧倒的に多かったのは、米Amazon Web Services(AWS)で75.3%だった(図1)。4人のうち3人はAWSを選択肢に入れる、という計算だ。現時点でのクラウドNo.1はAWSである。

図1●今後のシステム基盤刷新やシステム開発案件で、選択肢に含めるクラウド事業者は(いくつでも)
図1●今後のシステム基盤刷新やシステム開発案件で、選択肢に含めるクラウド事業者は(いくつでも)
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 次いで米Microsoft(Azure)が52.8%と半数を超えた。AWSとともにクラウド事業者を選ぶ際の定番銘柄となっている、といえる。

 3位以下は、団子レースである。米IBM(SoftLayer、Bluemix)、NTTコミュニケーションズ、富士通、米Googleは2割前後。IIJ、米Salesforce.com、米VMwareが15%前後だった。9位(VMware)でも約15%の数字を取っているのは、クラウド事業者を選ぶとき、選択肢を広く取っている表れだろう。

最多の目的は「リソースの柔軟性・拡張性の向上、調達期間短縮」

 クラウドを導入する目的は何か(図2)。この回答として最も多かったのは、「システムリソースの柔軟性・拡張性の向上、調達期間短縮」(64.0%)。次いで、「コスト削減(オフバランス化を含む)」(58.4%)、「インフラの運用・保守の手間削減」(56.2%)だった。これら50%超えの上位三つに加え、「信頼性向上、BCP(事業継続計画)の実現」(38.2%)までの上位四つが比較的多かった。

図2●クラウドを導入した、あるいはこれから導入する目的は何か(上位三つ)
図2●クラウドを導入した、あるいはこれから導入する目的は何か(上位三つ)
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 一方、「人工知能やストリームコンピューティングなど新しいITの活用」は13.5%にとどまった。現状では、新しいITの活用をする段階に入った現場はまだ少ないと推察される。