「こんなのウエルノウンポートじゃない」――校了作業で追い込まれていた筆者が、つい口にしてしまった言葉だ。

 ウエルノウンポートとは、直訳すれば「よく知られたポート」となる。ポートとは、コンピュータネットワークでアプリケーションを識別するための仕組みである。

 インターネットや社内ネットワークなどの通信では、通信相手をIPアドレスで指定する。しかし、IPアドレスだけでは、受信側が通信データを通信相手の機器上で稼働するどのアプリケーションに渡したらよいか判別できない。そこで、補助的なアドレスとして利用するのがポート番号である。

 ウエルノウンポートは、頻繁に使われるアプリケーションの番号を指す。日経NETWORK 8月号では、第1特集でポート番号を取り上げた。冒頭の言葉はこの特集に載せた、公式機関が定めたウエルノウンポートのポート番号とそれぞれに対応するアプリケーションの対応表を作成したときに口をついて出たもの。

 ウエルノウンポートであっても、現在では使われていないアプリケーションのポート番号が多く、そのアプリケーションの概要を調べるのにほとほと苦労したからだ。

 特集では、ウエルノウンポートの中から、本当によく使われるポート番号を取り上げている。20番、21番、23番、80番、443番といったポート番号だ。これらのポート番号がどのアプリケーションを指すのか、企業のネットワークに関わる人はぜひ覚えてほしい。

 セキュリティ機器で社内ネットワークとインターネットとの通信の可否を決めたり、障害が発生したときにネットワークキャプチャーを行って状況を確認したりするときに、ポート番号で通信データの種類を判断することが多いからだ。