モノ作りの現場では、生産性と品質を高めようと日々、地道な改善活動が繰り返されている。第三者がストップウオッチで作業に掛かった時間を計測し、作業内容を振り返ってムダを見つけ出す。見つけたムダは、作業手順やライン設計、部材の置き場、様々なスケジュールなどの変更や調整で解消し、生産性と品質の向上へとつなげる。

写真1●ほぼ全自動化された東芝の四日市工場
写真1●ほぼ全自動化された東芝の四日市工場
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 このように、改善活動のベースは「人手による作業内容」を見直すことにある。それでは、作業が機械やITによって自動化された現場であれば、改善活動は不要になるのだろうか?

 その答えは、日経情報ストラテジー9月号(7月29日発行)の特集「製造ビッグデータ」の取材で訪れた、東芝の四日市工場(三重県四日市市)にあった(写真1)。

人影のない半導体回路の製造現場

 四日市工場は、東芝の半導体製造部門であるセミコンダクター&ストレージ社が操業している。スマートフォンやデジタルカメラなどの各種ストレージとして利用される「NAND型フラッシュメモリー」の生産拠点だ。稼働する半導体製造装置は合計4000台。それらが、フロアに一定間隔でずらりと並んでいる。すべてが、工場の一角に設けた「コントロールセンター」とネットワークでつながっている。作業員は、Webブラウザー上で各装置の稼働状況を把握。保守作業もできる。