電子メール(メール)は、現在最も広く一般的に普及しているコミュニケーション・ツールと言っても過言ではないだろう。利用時間では、「LINE」や「Facebook」といったSNSの方が長く、メールよりもSNSの方が連絡が取りやすいという利用者も増えている。しかし「誰でも使える」という点では、メールに分がある。

 例えば携帯電話には、もれなくメール機能が付いてくる。2015年6月に総務省が発表した携帯電話の契約数は1億4998万で、日本の人口を超えている。筆者のように3台(ガラケーとiPhone、Android)持ち歩いていたり、なかには5台以上使っているという利用者もいる。しかしそれは特殊なので、実態としては日本人のほぼ全員が持っていると言ってよい。つまり日本人ほぼ全員が“電子メールReady”な状態にあるわけだ。

 もう1つあるのはWebメールの普及。これによりメールアカウントを作成する手間も減っている。米グーグルの「Gmail」や米マイクロソフトの「Outlook.com」など、Webメールであれば比較的手軽にメールアカウントを作成できる。

 こうしたWebメールサービスに限らず、SNSやオンラインショップなど、大半のサービスがメールをアカウントの認証に利用している。その結果として、メールは一種の社会インフラとして機能している状況にある。これも、誰もが使えるツールであればこそと言えるだろう。

メールが届くには時間がかかる

 しかし、これだけ普及している割に、意外にその仕組みについては知られていないのが現状だろう。例えばメールは送信した瞬間に届くと思われがちだが、実際にはそれなりの遅れがある。1990年代のインターネット初期にメールを使ったユーザーであれば、場合によっては1時間から1日近くかかってようやく届いたなどという経験もあるだろう。電話でメールを送る約束をして、話しているうちに届けば、「おお、結構ネットワーク的に近いですね」などと会話した記憶もある。