ここ半年ほど、「プログラミングを職業とすることの意味」を考え続けています。私自身は職業プログラマではないので、プログラマ向けの各種サービスを取材して、何とか手がかりをつかもうとしています。これまでに、技術情報共有サービス「Qiita」、競技プログラミングサイト「topcoder」、技術者が企業を気軽に訪問できるきっかけを提供する「Wantedly」、技術者が得意なスキルをアピールできる「Forkwell」、プログラミングの実力を測定できる「CodeIQ」や「paiza」を取材しました。

 そうした取材の成果は、折に触れてITproや日経ソフトウエアにまとめています。具体的には、ITproの「『プログラマの役に立つものを提供していきたい』、情報共有サービス『Qiita』の挑戦」や「『60万人の一流プログラマ』が『成功率93%のSI』を実現するtopcoder」といった記事です。このテーマの集大成として、日経ソフトウエア2014年9月号に特集2「プログラミングで生きる道」を掲載しました。

 こうした取材から見えてきたのは、優れたプログラマの間では「プログラミング技術一本で生きていくには、前提としてプログラミングが好きである必要がある」と固く信じられているということです。プログラミングに限らず、仕方なくいやいや行う作業よりも楽しんで行う作業のほうが生産性が高いのはよくあることです。少なくとも、プログラミングが好きな人のほうが有利なのは間違いないでしょう。

 実際に、プログラミング分野では「楽しい」というキーワードが出てくることがよくあります。例えば、Linuxの生みの親として著名なLinus Torvalds氏の自伝は「それがぼくには楽しかったから」(原題は、Just for Fun: The Story of an Accidental Revolutionary)です。Rubyの入門書として名高い「たのしいRuby」という書籍もあります。

 米AppleがiOS/Macアプリを開発するための新言語として発表した「Swift」は、「the first industrial-quality systems programming language that is as expressive and enjoyable as a scripting language」と「プログラマにとって楽しい(enjoyable)」という特徴を大々的に打ち出しています。