これまで何度も浮上しては、導入を見送られてきた光回線の「1分岐貸し」問題。その再戦とも言える議論が総務省の接続政策委員会で2015年2月から始まっていた。結論を先に述べると、またしてもNTT東西に軍配が上がったわけだが、当面は接続料の大幅な低廉化を見込めることが濃厚となった。光回線だけでなく、携帯電話回線も同様である。以下では、この不思議なカラクリを紹介したい。
NTT東西の劣勢だったが、急転直下の逆転劇
発端は、総務省の「2020-ICT基盤政策特別部会」における規制改革議論だった。同議論ではNTT東西による光回線の卸提供「光コラボレーションモデル」を認める一方、従来の相互接続による競争促進も必要と判断。接続料の算定方法を含め、接続制度の在り方に立ち返って別途、議論すると予告していた。
これに期待を寄せたのは、ソフトバンクやKDDIである。ソフトバンクはもともと1分岐貸しの導入を強く主張してきた。KDDIは1分岐貸しに反対の立場ではあるが、NTT東西が2015年度に適用する光回線の接続料を初めて値上げした。思惑はソフトバンクと異なるものの、算定方法の見直しで接続料の引き下げにつなげたいという方向感は一致していた。
今回、大きな争点となったのは、局内スプリッターと局外スプリッターを結ぶ主端末回線の接続料の算定方法である(図1)。ソフトバンクは算定式の分子(設備コスト)を変えないまま、分母(需要)を現行の「芯線数」から「契約者数」に変更することを提案。利用者当たりの接続料相当額が一定となるため、「光配線区画内の獲得利用者数の多寡に依存しない接続料体系を実現できる」と主張した。