「休日出勤」と聞くと、心底憂鬱になる人は多いだろう。ところが、世界を見渡すと休日出勤が当たり前の国がある。北欧のノルウェーだ。ではノルウェーの人々は憂鬱な気持ちで、休日出勤をこなしているのかと言えば、そんなことはない。むしろ、休日出勤してまで働くことで、「生産性が高まる」と思い込んでいる。

 そんな事実を知ったのは、ワークスアプリケーションズが主催した「日本・ノルウェーの働き方に関するメディアセミナー」でのことだった。このセミナーで、同社が実施した「日本及びノルウェーのオフィスワーカーを対象とした『働き方』に関する意識調査(*1)」の結果が、公表されたからだ。

*1 調査手法はインターネット調査、実施期間は2016年4月18日~2016年5月5日、回答者は20歳以上60歳未満の男女で合計436名(日本316名、ノルウェー120名)

 何はともあれ、調査結果を見てほしい。まずは、休日出勤の頻度に関する調査結果だ(図1)。

図1●休日出勤の頻度
図1●休日出勤の頻度
出所:ワークスアプリケーションズが実施した「日本及びノルウェーのオフィスワーカーを対象とした『働き方』に関する意識調査」
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 ノルウェーでは休日出勤の頻度が高い。頻度が1カ月に3日以上になる回答者は、日本の6%に対してノルウェーは27.5%と、全体の4分の1以上を占めている。

 日本人の感覚からすると休日出勤は、「任された仕事が平日のうちに終わらず、仕方なくこなすもの」というマイナスイメージが強い。このため、休日出勤が多い働き方は生産性が低いと考えがちだ。図1の調査結果で日本人の休日出勤が少ないのは、こうした背景があるからだろう。

 その感覚から言えば、ノルウェーの働き方は生産性が低いということなる。では、ノルウェーの人々は自分たちの生産性について、どう感じているのか?その疑問に応える調査結果が、次のグラフだ(図2)。

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図2●労働生産性
図2●労働生産性
出所:ワークスアプリケーションズが実施した「日本及びノルウェーのオフィスワーカーを対象とした『働き方』に関する意識調査」
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 「休日出勤が多い」にもかかわらず、ノルウェーの人々は勤務先や自分自身に対して、「生産性が高い」と感じているのだ。

 むしろ日本人のほうが「休日出勤がほとんどない」にもかかわらず、「生産性が低い」と感じてしまっている。これは一体、どういうわけか?それを解き明かすのが、次の2つの調査結果である。