2016年6月8〜10日の3日間、国内最大のネットワーク関連展示会「Interop Tokyo 2016」が幕張メッセで開催された。今回もInteropの目玉企画、「ShowNet」の展示があった。

 ShowNetは世界最大級のライブデモネットワーク。最新の製品や最先端の技術を使って実稼働デモを披露し、展示会の出展者ブースや来場者向けにネットワークサービスを提供する。ShowNetの狙いの1つは、2〜3年後に業界に浸透する先端技術に挑戦し、相互運用性を確認することだ。

 つまり、ShowNetの内容から、2〜3年後のネットワークの姿を見ることができるわけだ。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に、どういったネットワーク技術が主流になっているかを占うことにもなる。

 主催者側は、今年の見どころとして、以下の内容を挙げている(写真1)。この中から、注目すべき展示をいくつか紹介しよう。

写真1●ShowNetの見どころ
写真1●ShowNetの見どころ
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[コアネットワーク]オール100Gの構成

 今年のShowNetの大きな特徴は、コアネットワーク(バックボーン)を中心に、対外接続、データセンター接続、CGN(キャリアグレードNAT)なども全て100Gで構築している点だ。

 コアネットワークは4台のルーターで構成されている。ファーウェイのCloudEngine 12804S(ce12k)、シスコシステムズのCisco ASR 9006(asr9006)、ジュニパーネットワークスのPTX3000(ptx3k)とMX240(mx240)だ。これらのルーターは全て100Gビットイーサネットでつないでいる(写真2)。

※括弧内はShowNetトポロジー図での省略表記

写真2●コアルーター
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写真2●コアルーター
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写真2●コアルーター

 コアネットワークを挟んで左右に、「DC West」「DC East」というデータセンターに見立てたネットワークを配置。コアネットワークはプロバイダー(ISP)と想定している。

 今回の新しい取り組みとして、データセンター内とデータセンター間の接続に「EVPN」という新しい技術を使った。

 従来のデータセンターでは、ユーザーごとにネットワークを分ける技術としてVLANが主に使われてきたが、VLANには様々な課題が顕在化している。

 そうした課題を解決する新技術として、VXLANが使われ始めている。ただ、宛先情報を伝えるのにマルチキャストが必要なため、使うのが難しかった。そこで、マルチキャストの代わりとして提案されている新技術がEVPNだ。

 今回のShowNetでは、DC WestとDC EastのそれぞれでVXLANの制御にEVPNを使った。一方で、2つのデータセンターをL2でつなぐ技術として、従来から用いられているMPLSを採用。こちらも宛先情報の交換にEVPNを用いている。