梅雨は情報漏洩の季節なのかもしれない。

写真1●日本年金機構が6月1日に問題を公表した資料
写真1●日本年金機構が6月1日に問題を公表した資料
[画像のクリックで拡大表示]

 一昨年の2013年5月には、ヤフーが標的型攻撃により最大2200万件のIDが盗まれた可能性を公表。昨年7月には、ベネッセコーポレーションが管理する最大2260万件の顧客情報が、内部犯行で持ち出されたことが明らかになった。そして今年6月1日には、日本年金機構が標的型攻撃に遭い、少なくとも約125万件の年金情報が流出したことが分かった(写真1)。

騒ぐマスコミ、黙る機構

 いずれも大きなインパクトがあった事案だが、今回の年金情報流出問題は公的年金という国民がほかの手段を選べない制度にもかかわらず約101万人にも被害が及んだ点で、ことさら注目度が高い。だからこそというべきか、にもかかわらずというべきか、機構ならびに機構を管轄する厚生労働省からの情報開示は積極的とは言い難い。

 一方で、マスコミでは「新事実」の抜きあいで盛り上がった。攻撃メールの件名や添付ファイルなどの詳細を記した「内部資料」や、機構が職員に送ったとされる注意喚起のメールなどが、テレビに大写しになったこともある。新聞各紙も漏れたファイル数などを克明に報じた。問題公表から1カ月以上たった今も、ポロポロとニュースが報じられている。

 これに対し、厚労省の塩崎恭久大臣は、6月5日の衆議院厚生労働委員会で「幹部が、職員がマスコミにいろいろお話をしているようですね。こういう、言ってみれば統制のとれていない組織であることは、私どもとしては大変遺憾な状態だと思わざるを得ない」「内部情報を厚生労働省に報告、相談もなしに外部に流出するというようなことも、我々としては問題だなというふうに思う」と答弁した。