安倍首相が消費増税を2017年4月から2019年10月へと2年半、再延期する方針を6月1日に正式に表明した。これにより、自治体の情報システム関係者の間には、緊張感が漂い始めている。

 政府は、消費増税を先送りするものの、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2020年度に黒字化する財政健全化目標を維持したまま、子育て支援などの1億総活躍プランの各種施策を実施する方針である。このためには、景気拡大で期待される税収増を財源として見込む一方で、相対的に優先度が低い既存の歳出を可能な限り絞り込むことが欠かせなくなる見通しである。

 そこで、政府の2017年度予算編成では、既存の各種経費にかつてないほど強力な削減圧力がかかる可能性が出てきた。自治体の情報システムも、そうしたコスト削減のターゲットになっている。

 政府がコスト削減の最有力手段に位置付けているのが、複数の自治体でシステムを共用する自治体クラウドへの移行の推進である。自治体のシステム関係者は、7月の参院選終了後に明らかになるであろう自治体クラウド推進の方針・施策を固唾をのんで見守っている。

運用コスト3割減の目標期限は2018年度に

 もともと政府は、2013年6月に閣議決定した国家IT戦略「世界最先端IT国家創造宣言」の中で、「国・地方を通じた行政情報システムの改革」を掲げ、国のシステムについては二つの大きな目標を据えて効率化に取り組んできた。一つは「2018年度までに政府システム数を2012年度の1450から半減」、もう一つは「2021年度までに原則すべての政府システムをクラウド化し、運用コストを2013年度の約4000億円から3割減」というものである。