「国内地方マーケットにおける選好性向上に向けては、『機内Wi-Fiサービス』(公衆無線LAN)の無料化などで競合他社の一歩先を行く新しい機内環境の提供に努めていく」――。2017年4月28日に開催された日本航空(JAL)の中期経営計画の説明会。記者は、西尾忠男常務執行役員のこの発言が気になっていた。

 確かにJALにとって国内線の競争環境は厳しい。格安航空会社(LCC)の台頭で乗客の奪い合いが激しくなっている。そのなかでJALはプレミアム化、すなわち座席や機内サービスの充実で差異化を図り、高くてもJALを選ぶ乗客を増やそうとしている。

 とはいえ、もともとサービス品質の高い日本では、プレミアム化による差異化は簡単ではない。JALがサービス品質のベンチマークとしていた日本生産性本部の「日本版顧客満足度指数(JCSI)」2016年度調査によると、JALの顧客満足度はスターフライヤー、ソラシドエア、全日本空輸(ANA)、スカイマークに次ぎ国内線航空で5位。他者推奨意向、再利用意向はいずれもスターフライヤー、ANAに次ぐ3位にとどまっていた。