言ったことを実行しない友人はあなたの身の回りにはいないだろうか。口からでまかせを並べてばかりで、一つも実現させない友人の言うことを信じるのは難しいかもしれない。

 それが友人なら笑って済ませるかもしれないが、会社の同僚だったらどうだろうか。「やります、やります」といって、実行しない。こんな同僚と仕事をするのはごめんこうむりたい。

 もちろん約束を必ず守るのは難しいことだが、その頻度には程度というものがある。「毎回約束を破る」のと「たまに約束を守れない」のでは、友人でも同僚でも付き合い方に差が出てくる。

 人間であれば、言ったことを必ず実行できる人は少ない。筆者も子どものころに夏休みに勉強の計画を立てたが、3日も過ぎれば計画を実行しなくなったことが記憶にある。約束を守らなかった事実は自分自身の胸の中にそっとしまっていたが、成績表という形でその事実は記録されたことを覚えている。

 企業は毎年、1年間の「成績表」を業績発表という形でまとめる。年度当初に作成した、売上高や営業利益などの目標を達成できていたかどうかを確認する。同時に、次の1年間の目標も発表する。業績予想だ。経営方針や市場環境を基に、株主や投資家向けに1年後の成績を予想して開示するというわけだ。

 ITベンダーの連結決算の業績と年度当初の目標を見てみよう。国内最大手の3社はどうか。コンピュータメーカーの顔を持つ日立製作所、富士通、NECだ。これら3社は、年度の当初目標を達成できているだろうか。

表1●ITベンダー大手3社の業績予想の達成度合い
表1●ITベンダー大手3社の業績予想の達成度合い
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 筆者は各社が開示している決算短信を基に、表を作成した。2008年3月期から2016年3月期までの9年間の数字である(表1)。