2015年3月5日に公開した本欄の記事「図解力のないエンジニアが吐く悲しい言い訳」で、図解の本質はモデリングであり、エンジニアには分かりやすい図を作る資質がある、と書いた。読者の方から多くの反響をいただき、図解についての問題意識の高さを実感した。

 SNSへの記事に関する書き込みに、要素を構造化した後、図として表現することの難しさを訴える声があった。確かに、要素を構造化しても表現の面で分かりにくい図になるケースがある。

 そこでここでは、記者が図解のプロ、チューブグラフィックスの木村博之氏(代表取締役)から教わり日ごろ実践している表現のテクニックのなかで、最も即効性の高いものを紹介したい。それは、重要な要素だけを目立たせるテクニックだ。

 ITの現場で、ごちゃごちゃして分かりにくい図を見かけることは少なくないだろう。詰め込まれたいろんな要素がそれぞれ存在を主張し、どこから見ていけばよいのか分からない、という図だ。図1のデータフロー図はその典型例である。

図1●ごちゃごちゃして分かりにくいデータフロー図
図1●ごちゃごちゃして分かりにくいデータフロー図
[画像のクリックで拡大表示]

 テクニックを使えば、全体的にすっきりとした表現にして、重要な要素だけを目立たせることができる。このテクニックは、二つのステップで構成される。(1)あらゆる要素を徹底してそろえる、(2)強調表現を施す――である。