今年も「みんなのラズパイコンテスト」のシーズンがやって参りました。人気の格安PCボード「Raspberry Pi」(ラズパイ)を活用した楽しい作品やアイデアを募集するコンテストです(写真1)。3回目の今年は2016年6月6日に応募を開始。締め切りは2016年9月12日です。8月1日までに応募すると、ある特別な賞への応募資格も得られます。

写真1●2016年2月に発売された最新の「Raspberry Pi 3 Model B」
写真1●2016年2月に発売された最新の「Raspberry Pi 3 Model B」
1.2GHzの4コアARMチップを搭載し、Wi-FiやBluetoothを標準搭載する。
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 こうしたコンテストではどんな作品が選ばれるのでしょうか。その傾向が分かれば、いろんなコンテストに応募するとき、参考になるかもしれません。2014年よりこれまで事務局を2回担当した経験から、ラズパイコンテストでの傾向を紹介したいと思います。

 過去の審査の過程を考えると、一番の受賞理由は「これはすごい」という「驚き」があることでした。次は、「確かにそれがあるとうれしい」と思える「共感」を得られるか。単純に「技術的にすごい」ことも大きな評価ポイントになります。小中学生から大学院生の学生さんを対象にした賞もたくさん設けていますが、選び方はほぼ同じです。

写真2●グランプリ作品で撮影した「M16 わし星雲」
写真2●グランプリ作品で撮影した「M16 わし星雲」
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 2015年に「グランプリ」を取った作品は、大槻正樹さんの「天体を静止画として長時間撮影できる装置」でした。長時間露光すると地球の自転により流れてしまう星空を、静止画として美しく撮影できるようにする装置です(写真2)。望遠鏡の「赤道儀」という装置にラズパイを取り付けて、補助カメラから受け取った写真をラズパイで画像認識して星の位置のずれを検出し、自動補正します(関連記事:「みんなのラズパイコンテスト2015」受賞作品決定)。

 これは、「驚き」があった作品の典型です。送ってきてもらった天体写真がどれも素晴らしいことに驚き、さらにラズパイの特性を最大限に生かしたその仕組みに驚かされました。

 「共感」を得た典型例は、「アイデア賞」を受賞した柏本幸俊さんの「フィンランドで日本の日の出を体験する『Wake up as in Japan』」でしょう。フィンランドに留学中の作者が、日本では窓から差し込んでくる朝日を浴びて起きていたのを留学中も再現したいと思って作った作品です。日本に置いたカラーセンサーで朝日の色や強さを記録し、フィンランドの枕元に置いたLEDランプでそれを再現します。「朝日で起きている人が“白夜の国”に行ったら確かに欲しい!」と、共感できる作品でした。