パブリッククラウド上のデータベース(DB)が面白い。こう思い立ち、日経コンピュータの連載「クラウドDB活用の勘所」を企画した。アシスト データベース技術本部の関俊洋氏には、6回を通じトレンドを踏まえて分かりやすく解説してもらった。

 面白いと感じたのは、オープンソースソフトウエア(OSS)のDB、とりわけNoSQLが活躍する場が増えそうなこと。さらに今後、「DBの選択」が「クラウドの選択」の鍵を握ると感じたからだ。データウエアハウス(DWH)などの情報系DBはクラウドと相性が良い。理由の一つを関氏は「情報系データベースは投資対効果が見えないと批判されがちだが、クラウドならスモールスタートできる」と説明する。

 多くの企業が直面する“投資対効果が見えない挑戦”が、IoT(Internet of Things)だ。センサーなどのデバイスから多くの情報を集め、分析によりビジネスの知見を得る。こうしたIoTシステムのアーキテクチャーは、オージス総研が提供する「IoTかんたんパック」に見て取れる。

写真1●「IoTかんたんパック」の構成イメージ
写真1●「IoTかんたんパック」の構成イメージ
出所:オージス総研
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 AWS(アマゾン ウェブ サービス)上に構築されたIoTプラットフォームを、ユーザーは月額料金で利用する。データの流れを見ると、デバイスから集めたデータはいったんオブジェクトストレージ「Amazon S3」に格納。そこから、DWH「Amazon Redshift」やデータベース「Amazon RDS(Relational Database Service)」にデータをロードして分析する。

 クラウドでは、商用やOSSなど様々なDBを提供している。リレーショナル型に加え、MongoDBやRiakといったNoSQLの品ぞろえも豊富。オブジェクトストレージなどもあわせて、広い意味で「情報系DB」が充実している。特性の異なるDBを組み合わせて使いやすいのが、クラウドのメリットだ。

 裏を返せば、必要なDBをワンストップで提供できるかどうかがクラウド選択の決め手になり得る。ここでも先行するのはAWSで、マイクロソフトやIBM、オラクルなどが後を追う。マネージドサービスとOSSの2軸で進む、クラウドDBの盛り上がりを見よう。