「お宅の会社はいまだにそんな状態なのか」。そう言われるかもしれないことを恐れつつ、この記事を書いている。記事のタイトルに掲げたディスプレイの追加とSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)の交換、つまり作業領域の拡大とローカルストレージの高速化がPCでの作業効率向上に効くのは当たり前。何を今さら、である。

 にもかかわらず、ここで言及するのはなぜか。職場では筆者が使っているマルチディスプレイ環境を眺めて「いいですね~」と感嘆し、アプリが起動する様子を見て「速いパソコンですね~」と驚く人がまだまだ多い。ほとんどの人がマルチディスプレイやSSDについて知っているにもかかわらず、だ。知っているけれども、実際に見てみるとやっぱりいいかな、と思うわけである。

 ということで、改めてマルチディスプレイやSSDの恩恵について書くことにした。

取りあえず、目先の生産性を上げたい

 ところで、「ITの活用で生産性向上を」と言った場合は、必ずしも手元の端末での作業効率向上だけを指すのではない。コミュニケーションツールを見直すことで相談や意思決定のロスを減らす、無駄な会議を削減する、セキュリティを確保したモバイル端末の導入でペーパーレスを進めるなどが考えられるだろう。

 ただ、こうした施策を職場に導入するにはコストも時間もかかる。運用ルールを新たに定めて、全員に周知徹底させる必要もあるだろう。生産性向上を実現するまでは、長い道のりになる。

 ここでは「生産」の意味するところを、PC上で文書や画像、映像を編集したり、Webブラウザーやアプリケーションを通じて業務処理をしたりすることが完了するまでの時間と定義しておく。この記事での「生産性が高い」とは、これらの作業が完了するまでの時間が短くて済む、ということだ。

マルチディスプレイは思考の分断を防ぐ

 記事のタイトルの「画面の追加」とは、PCに別のディスプレイを接続することを指す。先に述べた「マルチディスプレイ」と呼ばれる状態であり、Windowsであれば接続したディスプレイの分だけ「デスクトップ」として使える領域が増える。

マルチディスプレイの構成例。Windowsの場合、ディスプレイを接続して簡単な設定をするだけでよい
マルチディスプレイの構成例。Windowsの場合、ディスプレイを接続して簡単な設定をするだけでよい
(撮影:スタジオキャスパー)
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 最近のデスクトップPCなら、2系統の映像出力端子を備えていることが多いし、ノートPCでも大抵は1系統の映像出力端子がある。余ったディスプレイがあれば接続してすぐにマルチディスプレイができる。もっと詳しい情報は、「業務効率が一気に上がる、実践!マルチディスプレイ」を読んでほしい。