写真●記者がテレワークで利用しているSurface 3。会社支給のiPhone 5sと合わせて持ち歩いている
写真●記者がテレワークで利用しているSurface 3。会社支給のiPhone 5sと合わせて持ち歩いている

 記者は2014年後半から、日経情報ストラテジーでワークスタイル変革のコラムや特集を担当している。これまでキユーピーやANA、丸亀製麺のトリドールなど、20社以上を取材してきた。

 各社がワークスタイル変革に取り組む狙いは、「社内コミュニケーションを活性化して、新しいビジネスを生み出す」「拠点間の移動が多いなかで、効率よく仕事ができるようにする」など様々だ。それを踏まえて、必要なITやオフィス環境、さらには人事制度まで見直して、働き方変革を進めている。

 取材で聞けた取り組みは、企業ぐるみで進める大がかりなものが中心だったが、「個人レベルでもできそう」と思えるものも少なくない。しかも、ある変革担当者によると、「無線LANなど必要なオフィス環境を整えたうえで、現場に合わせて運用していけば、働き方は変えられる」とのこと。その言葉を受けて記者も、「自身の仕事に合わせて、個人でワークスタイル変革をしていくのも、そう難しいことではない」と、考えるようになった。

 特に興味を持ったのが、自宅や外出先で仕事をするテレワークだ。「テレワークをすると、生産性向上を実感できる」という効果を挙げる企業が、これまでの取材で多かったからだ。自宅から出社する時間や、外出先から戻ったりする時間を省ける一方、ノートパソコンなどを使った個人作業の時間を確保できるので、効果が実感できるという。

 「生産性向上を実感できる」というのは、オフィスワーカーにとって魅力的だ。仕事がはかどるのは、気持ちがいい。そこで記者は、取材が終わったあと、その近所で作業できる場所を探索。記事作成など、普段は会社の自席のパソコンで行っていることを、テレワークでやってみた。記者の職場は、テレワークが許容されている。昨年半ば、4G LTE通信機能内蔵の2in1タブレット、Surface 3を個人で購入したのを機に、できる範囲で機会を見つけ、取り組んでみた。

 機会を見つけてトライしてみた結果、「テレワークに入る前に段取りを整える」「集中できる時間帯や場所を確保できる」という条件があれば、効果は得られると確信した。その条件がそろった場合、会社にいると半日以上の時間は必要ではないかと思える仕事も、数時間で終わらせることができた。

 テレワークに入る前の段取りとは、「確保した時間と場所で、どんな仕事をどれくらいまでやるのか」という、仕事内容と目標を、明確に決めることを指す。テレワーク実践企業への取材で得たノウハウだが、実際やってみると、その効果を強く感じることができた。