これまでに私が買ったデジタル製品は、ことごとく世間の主流からズレていたように思う。
小学生の頃は、ファミコンの代わりに「MSX」でゲームに興じ、大学生のガラケー全盛期にノキアの元祖スマートフォン「702NK」をいじり倒した。記者駆け出しのころはWindows XPに背を向けて「sigmarion III」で原稿を打っていた。
そして今、世の中は米アップルのスマートウォッチ「Apple Watch」のレビュー記事であふれている。
本体の裏に心拍計がついている、という仕様に心が躍る。「これで心拍を1日中測定できれば、自分のカラダの状態を詳細にハック(解析)できるのだろうか」と考えるとわくわくし、「カートに追加」ボタンをついつい押したくなる。
だが、今さらメジャーな新製品を購入する気にはなれない。一度悪球打ちを身につけると、ど真ん中は打てなくなるのだ。
そこで今回、Apple Watchの購入はぐっと我慢し、その代わりにApple Watchと同じく時計にもなり、かつ心拍計にもなるリストバンドを自腹で購入した(写真1)。選んだのは、1カ月ほど目に国内で発売され、デザインの良さから気になっていった米フィットビット製の「Fitbit Charge HR」。このリストバンドのレビュー結果を紹介するのが、本記事の趣旨である。
私はこれまでも、「Fitbit Flex」や「Jawbone UP24」といった、手首に付けるウエアラブル端末を愛用していた。いずれもBluetoothでスマートフォンと同期し、内蔵する加速度センサーで日々の歩数や消費カロリーを記録できるリストバンド型の活動量計である。
だが、残念ながら「精度の高い歩数計」以上の使い道を開拓できず、いつしか身につけなくなっていた。
今回のリストバンドは、加速度センサーによる歩数の測定に加え、裏側についた心拍センサーで心拍数を常時測定できる(写真2)。加えて、ボタンを押すか2回タップすれば時間も表示でき、腕時計の代わりにもなる。前機種よりも、常時身につけるモチベーションを維持しやすそうだ。
Apple Watchは「ウエアラブル端末の未来」なのか?
今回、手首というプレミアムな位置を占有させるウエアラブル端末として、あえてリストバンド型心拍計を選び、Apple Watchを回避したのは、「主流がキライ」という偏屈以外にも理由がある。
1つは、Apple Watchの仕様では、睡眠中の心拍を測りにくいと感じたことだ。