しばしば使っているにも関わらず、定義を問われると答えづらい言葉の一つにリーダーあるいはリーダーシップがある。かつて編集長をしていた時、編集会議で「この話は誰に読んでもらうのか。リーダー向けか」などと発言した覚えがあるが、そう言っていた当人がリーダーとは何かをよく分かっていなかった気がする。

 英語であるが広辞苑を引いてみると「リーダー」について指導者、先駆者、先達、首領と出ていた。すぐ次に「リーダーシップ」が載っており、「指導者たる地位または任務。指導権。指導者としての資質・能力・力量・統率力」と書いてあった。

 マネジャーやマネジメントとどう違うのかと思ったが、辞書を引いてばかりでは話を進められないので、リーダーとリーダーシップの意味は「誰かを指導しつつ任務を遂行する人とその力」としておく。

 企業の経営者に取材をした際、課題を伺うとリーダーの育成を挙げる人が多い。「周りを引っ張れる人を求めている」「出る杭は打たない」などと言う。「あなたはそう言うが実際の社風は違うのでは」と絡んでみると、「風通しを良くするためにも中堅や若手のリーダーシップに期待している」などと返されてしまい、とにかくリーダー育成が重要だという話で終わる。

 経営者も現場もそれなりに大変だろうが、いわゆるプレイングマネジャー、部下や後輩を指導しながら仕事をこなしている30代40代が一番大変ではないかと考え、そうした方を対象にしたトレーニングのお手伝いをしてきた。

5年経つと色々変わる

 先日、そうしたトレーニングをこれまで受けた方々の同窓会があり、そこに参加する機会を得た。参加者はほぼ全員30代から40代で、情報システム関係の実務をされている。現場でしっかり仕事をされている方々の話には重みがあったので報告してみたい。ただし、同窓会の席上、「今日は記者ではありません」と挨拶してしまった手前、発言者の勤務先や立場は伏せ、発言の要旨だけを列挙する。

 同窓会といっても、古株の方が5年前、新顔になると昨年、そのトレーニングを受けていたので、ここ数年に顔を合わせた方の集まりである。それでもこの5年間で参加者の方々には色々なことが起きていた。

 肩書きから代理がとれマネジャーになった人もいれば、海外駐在になった人もいた。組織が大きくなり、部下の人数が2倍近くなった人もいた。昨今の経済状況の影響なのか、組織変更に巻き込まれた方も多い。グループ企業の再編で組織名が変わった、親会社からの出向者が周囲に増えた、新任の担当役員が組織を一新した、等々。