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記者の眼

「無人」だから客が集まる、チャットボット接客が続々

玄 忠雄=日経コミュニケーション 2017/05/26 日経コミュニケーション

 話しかけられずにいたい時もあれば、構ってほしい時もある。小売店や飲食店などで接客を受けた時、状況や心持ち次第で受け止め方が正反対に変わってしまった経験は誰にでもあるだろう。

 この場で購入する気はないが、店頭で商品を手に取って試してみたい。そんなとき「購入をご検討ですか」と販売スタッフが声を掛けてくる。優秀なスタッフなら商品の購入目的や利用場面を会話からそれとなく聞きだそうとするだろう。しかし商品の試用に集中したい時は、会話そのものが煩わしい。

 購入する意思が固まっているときには接客の評価が変わってくる。顧客と上手にコミュニケーションをとって商品選びを手伝ってくれる販売スタッフの接客は心地よいものだ。逆に、販売スタッフが別の接客に追われて待たされるとイライラするし、顧客の商品の使い方や嗜好を知ろうとせずに一方的な説明だと購入意欲も失せてくる。

 小売業界では、販売スタッフの立っている場所で客が立ち寄りやすい店になるか、入りにくい店になるかが分かれるという。入りにくいのは販売スタッフが入り口にじっと立っている店舗だ。

 一方、立ち寄りやすい店は販売スタッフの存在感をあまり感じさせない。普段は売り場の奥にいたり適度に分散して立っていたりしているが、接客を求めている来店客を察知して、適切なタイミングで商品選びを手助けする。

 この知恵が、ネットビジネスの分野でも生きようとしている。チャットや電話など、コンタクトセンターでの有人の緻密な顧客対応を売り物にするネット企業が、「人の存在感」を消すことで「立ち寄りやすい店作り」に取り組む事例が出てきているのだ。人に代わって最初に“接客”するのはチャットボットである。

ボットなら若者も臆せず保険相談

 ライフネット生命保険は2017年1月、LINEで提供する保険相談などのサービスを一部刷新して、自分に合った保険商品を診断するチャットボットの運用を始めた。ボットは利用者の基礎情報などを聞き、診断結果やお薦めの保険商品を提示するというものだ(写真1)。

写真1●ライフネット生命保険がLINEで導入したチャットボット。キャラクター「ラネットくん」の問いに応えていくと適した保険商品などを提案する。
[画像のクリックで拡大表示]

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