最近、政府がプログラミングを2020年から義務教育で必修化する方針を示したことで、改めて子供向けのプログラミング教育に関する議論が盛んになっています。

 個人的な意見を述べさせてもらうと、多くの子供にとって、プログラミング教育は直接的には不要だと思います。大半の子供は職業プログラマになるわけではありません。プログラミングのスキルを必要とするエンジニアや研究者になる子供も限られるでしょう。

 「プログラミングは論理的思考能力を鍛える」という意見がありますが、それなら算数や数学で十分です。ほとんどの子供にとってプログラミングは、例えば国語の時間の「習字」と同レベルの存在になると予想します。

 しかし、だからこそプログラミングの必修化が必要だと考えます。義務教育でプログラミングを教えなければ、多くの人はプログラミングを経験する機会を一生持てないかもしれないからです。

 もし、国語の時間に習字がなければ、筆者は書道に触れることなく人生を終えていたかもしれません。「プログラミングなんて単に仕様に沿ってコーディングしてるだけでしょ?」といった感じで、「書道って字を書いてるだけでしょ?」と思っていたかもしれません。子供の頃に学校でわずかでも習字を体験したからこそ、書道の価値を多少は理解できているわけです。

 「義務教育でプログラミングを経験する」→「多くの人がプログラミングの重要性を理解する」→「プログラマの地位が向上する」→「プログラマの収入が上がる」→「優秀な人間がプログラマになる」、という連鎖が生まれれば理想的です。