カードサイズで5000円前後という格安のコンピュータ「ラズベリーパイ(Raspberry Pi)」(以下、ラズパイ)は、教育や電子工作の分野で幅広く利用されています。「Raspbian(ラズビアン)」と呼ばれるラズパイ用のLinuxを搭載し、パソコンのように使うこともできます。

 実はこのラズパイ、最新版の「ラズパイ2(Raspberry Pi 2)」では、Windowsが動くようになります。米Microsoftは2015年2月、Windowsの次期バージョン「10」でラズパイ2をサポートすることを発表しました。そして4月29日、ラズパイ2向けWindowsのプレビュー版となる「Windows 10 IoT Core Insider Preview Image for Raspberry Pi 2」を公開しました(図1)。

図1●米Microsoftの「Windows IoT」サイト。ラズパイ2のほか、「MinnowBoard Max」や「Galileo」向けも提供されている
図1●米Microsoftの「Windows IoT」サイト。ラズパイ2のほか、「MinnowBoard Max」や「Galileo」向けも提供されている
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 もちろん、ラズパイ向けのWindows 10 IoT Coreは、パソコンで動くフルバージョンのWindows 10とは異なります。ラズパイはARMベースのCPUを搭載しているので、米Intelのx86系CPU向けのWindowsは動きません。ラズパイ向けのWindows 10 IoT Coreは、これまで「Windows Embedded」と呼ばれてきた、ARM搭載機向けの組み込みOSの流れをくむものです。それでも、パソコンと同じ“Windowsファミリー”がラズパイで動作することは、大いに注目すべきでしょう。アプリの開発環境もWindowsと共通化されることから、ラズパイがぐっと身近になり、応用範囲が広がります。

 日経ソフトウエアの2015年7月号(5月23日発売)では、このWindows 10 IoT Coreのプレビュー版を実際にラズパイ2に導入し、簡単なサンプルアプリを動かすというレポート記事を掲載しています。ここでは、その概要と、本誌では触れられなかったプラスアルファの情報を提供しましょう。