写真1●ハーバード大学教授のマイケル・ポーター氏
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 IoT(Internet of Things)はコンセプト先行から現実になりつつある。そしてもはやIT用語の域を超え経営用語として影響力を持ち始めている。米ハーバード大学教授のマイケル・ポーター氏の講演を聴いて、その思いを強くした。

 先日、米国マサチューセッツ州ボストンで開催されたIoTイベント「LiveWorx 2015」(現地時間2015年5月4~7日)を取材した。このイベントはCAD/PLM(製品ライフサイクル管理)大手の米PTCとその傘下のIoTプラットフォームベンダー米ThingWorxが開催したもの。キーノートには、ハーバード大学教授のマイケル・ポーター氏とPTCのジェームス・ヘプルマン社長兼CEOが一緒に登壇し、IoTがビジネスに及ぼす影響について講演した。

写真2●米PTC社長兼CEOのジェームス・ヘプルマン氏
写真2●米PTC社長兼CEOのジェームス・ヘプルマン氏
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 実はこの二人、2014年11月に米『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌に「How Smart, Connected Products Are Transforming Competition」という論文を共同執筆している。日本でも『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2015年4月号に「接続機能を持つスマート製品が変える、IoT時代の競争戦略」という題名で翻訳が掲載されている。前もって翻訳は読んでいたが、両者の生のプレゼンを聴くとやはり説得力がある。ポーター氏は2015年3月まで20年にわたってPTCの取締役を務め、その後も戦略アドバイザーとして活動している。

 マイケル・ポーター氏といえば、1980年に発表した『競争の戦略』や85年の『競争優位の戦略』が有名だ(関連記事:ITのプロが知っておきたいビジネス理論の常識 経営戦略の定石って、語れますか?)。

 「ファイブフォース(5つの競争要因)」や「バリューチェーン」など独自の分析手法を提唱。30年余りにわたって経営戦略論をリードし続けている。日本の経営者の間でも、人気が高い。そのポーター氏はIoTをどう見ているのか。