壁に貼られたチラシを写真にとって、メモの代わりにする。神社仏閣などで歴史的な経緯が書かれている掲示板を撮影して資料とする――。スマートフォンが内蔵するカメラの解像度が上がったことで、こういった使い方が日常的にできるようになった。ただし、写真に撮っただけでは、あまり使えない。そこにある情報は、あくまでも画像データで後から検索するのも大変だ。

 もちろん、ドキュメントスキャナーがあれば、チラシとか、あるいは新聞や雑誌は、読み込んで文字認識しPDF化することで、その内容を検索可能なファイルにできる。そして画像データであれば、ドキュメントスキャナーに付属するソフトでPDF化できる。ところが写真となると面倒だ。まず、照明などの映り込みを避けたりしていると、撮影する場所の関係で、ほとんどの場合、被写体が歪んでしまい、文字認識が難しくなる。画像処理ソフトで歪みを修整して、それを文字認識してPDF化することも、できなくはないが、かなり手間がかかる。

 お金と時間がないとできないと半分あきらめていたが、2015年に入ってから、そういった用途に使えるスマホ用のアプリが続々と登場してきた。これらのアプリを使うと、スマホは持ち歩き可能なドキュメントスキャナーになる。ここでは、無料で使える、便利なスマホアプリをいくつか紹介したい。

無料アプリで写真の歪みを簡単に修整

 最初に使い始めたのが、セイコーエプソンの「Epson iPrint」(写真1)。2015年2月に登場したバージョン5.1からスマホで撮影した画像を自由変形して、長方形に修正する「カメラコピー」機能が加わった。長方形に修正した部分の四隅を選択するだけの単純なものだが、これだけで切り抜いて、歪みを修整できる。調整した画像は印刷もできるが、カメラロールに保存して、再利用も可能だ。iOS版とAndroid版がある。

写真1●セイコーエプソンの「Epson iPrint」
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写真1●セイコーエプソンの「Epson iPrint」
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写真1●セイコーエプソンの「Epson iPrint」
エプソン製プリンターのスマートフォン用の印刷アプリだが、「カメラコピー」(左)を使って、画像の歪みを修整できる(右)