2016年1月の行政事務でのマイナンバー利用開始が刻一刻と迫り、制度対応のための取り組みが企業にも広がりつつある。

 マイナンバーは、社会保障と税のための番号であり、行政事務で利用することから、民間企業での対応が必要なことへの理解がこれまでなかなか進んでこなかった。2015年3月に政府広報が始まり、メディア報道も本格化してきたことで、対応の必要性がようやく認知されつつあるという状況だ。

 ただ、マイナンバー制度の狙いや枠組みの概略を知り、企業での対応の必要性を認知しても、疑問は次から次へとわいてくる。国の公表資料では、例えば法制度の建前から外れたり確定していない事項を明記したりすることがないため、本当に知りたいことがなかなかわかりにくい。

 今回は、ビジネスパーソンが抱いているであろうイマドキの3つの疑問について、できるだけ“簡素でわかりやすい”説明を試みる。厳密さを求めた場合に付く数多くの「ただし書き」を省いてあることを、あらかじめご承知おきいただきたい。

疑問1:企業はいつまでに対応を終えればよいのか

 一般企業が制度対応としてすべきことは、必要な人から正確にマイナンバーを集めて、安全に保管し、記載した書類を行政機関に提出することだ。マイナンバーを記載した源泉徴収票などの法定調書を税務署などの行政機関へ提出するのが「対応」のゴールだとすると、書類によって提出時期が異なるため、「対応の期限」を一言で表すのは難しい。それでも、あえて言うなら、多くの企業にとって一つの目安となる時期は「2016年12月」である。