「地域経済応援ポイント」をご存じだろうか。日本経済新聞のサイトで検索しても記事はヒットしないし、検索エンジンで調べても結果ページに表示されるのはほとんどが総務省サイト内の情報である。一般には、まだほとんど知られていない言葉と言えそうだ。

 現時点では世間一般にはなじみのない地域経済応援ポイントだが、総務省は、住民票などの「コンビニ交付サービス」、および2017年10月頃に本格運用を始めるマイナポータルで提供する「子育てワンストップサービス」と並んで、マイナンバーカードの普及・活用促進策の3本柱の一つに位置付けている。

 この地域経済応援ポイントの実証事業が、2017年9月以降に各地の自治体で始まる。5月12日には、総務省が自治体向けにシステム仕様や運用マニュアルの説明会を開催したところだ。はたして3月時点の交付枚数が約1100万枚と普及率が1割に満たないマイナンバーカードの普及・活用を促進できるほど、魅力的なサービスなのか。現時点で明らかになっている情報を基に考えてみた。

民間のポイントを公共施設や商店街で利用可能に

 地域経済応援ポイントを簡潔に説明すると、「クレジットカード会社のポイントや航空会社のマイルを、各自治体が独自に発行・管理する行政ポイントに交換して、自治体内の公共施設や商店街で利用できるようにするサービス」である。ポイントやマイルに姿を変えた民間の資金を、地域社会に流し込むことで地域経済を活性化させるという一種の経済対策だ。

 だが、この説明だけでは、なぜマイナンバーカードの普及・活用の促進につながるかはわからない。地域経済応援ポイントは、複数の政策的な側面を併せ持っており、実現の仕組みもやや複雑だ。もう少し説明を補足しよう。