人工知能(AI)をビジネスに導入している日本企業は1.8%。導入検討中の17.9%を合わせても全体の2割未満──。MM総研は2017年4月、このような調査結果を発表した。

 同社は米国とドイツの実態も調査した。それによると、米国はAIを導入済みの企業が13.3%、導入検討中が32.9%。ドイツは導入済みが4.9%、導入検討中が22.4%で、どちらも日本より高い。

 マネジメント層の技術理解度も差が大きい。マネジメント層がAI技術やサービスを詳しく知っているかを尋ねたところ、米国は49.8%、ドイツは30.9%なのに対し、日本は7.7%にとどまる。

AI/機械学習の活用が進むにつれて、大きな問題が浮上

 だからといって、2015年ごろから日本で急速に盛り上がりを見せた第3次AIブームが踊り場に差し掛かっているわけではない。米国やドイツよりも普及のペースは遅れているが、これからがAI活用の本番と見るべきだろう。

 実際、AI活用に意欲を見せる大手企業が相次いでいる。トヨタは2015年にAI開発子会社トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)を米国に設立。2020年までの5年間に、約10億ドル(1ドル=110円換算で約1100億円)を投じる計画だ。

 パナソニックはAI人材の確保を急ぐ。同社のAI人材は100~150人程度。中途採用や育成も含め 2020年に300人、2022年までに1000人に増やすのが目標だ。

 AI/機械学習の活用が進むにつれて、一つの大きな問題が浮上する。システムのテストだ。「AI/機械学習システムのテストは非常に面倒(mess)だ。解決策を誰も見いだしていないと思う」。

 ソフトウエアテストや品質管理に関して20年以上研究しており、米グーグルと共同研究した経験を持つ米メリーランド大学コンピュータサイエンス部門教授のアティフ・メモン(Atif Memon)氏はこう警鐘を鳴らす。

米メリーランド大学コンピュータサイエンス部門教授のアティフ・メモン氏
米メリーランド大学コンピュータサイエンス部門教授のアティフ・メモン氏
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