「システム構築プロジェクトを成功に導くのは簡単ではない。必ず成功するなんて、言い切れるものではない」――。ITproの読者なら誰もがそう思うだろう。

 しかし、システム構築プロジェクトで「私は失敗しない」と言い切る人がいる。なぜそんなことが言えるのか? ハッタリなのか? その人のノウハウを本にまとめる機会を得たので、その書籍『失敗しないITマネジャーが語る プロフェッショナルPMの神髄』(日経BP社発行)から引用しつつ、「失敗しない」と言い切るだけの根拠を探ってみた。

リーダーを通してマネジメントするのがPM

 最初に確認しておきたいことは、その人の言う「プロジェクト」はどのようなものかということだ。特定条件のプロジェクトに絞って「失敗しない」と言い切っているとしたら、それは多くの人に役立つノウハウではない。

 確認したところ、対象としているのは「大規模システム」である。特に条件があるわけではなく、さまざまな業種のプロジェクトに適用できるという。経歴を見ると、これまで金融関係のシステムに携わっていることが多い。大規模システムではシステムを分割し、サブシステムごとにチームリーダーを置く体制を採る。PM(プロジェクトマネジャー)はリーダーを束ねる位置付けになるという。

 PMは、チームリーダーを通してマネジメントするわけです。自分ではシステム開発の実務を一切行わず、現場のメンバーを直接マネジメントしない。チームリーダーはメンバーの状況をすべてつかんでいますが、PMは直接知ることはできない。---『失敗しないITマネジャーが語る プロフェッショナルPMの神髄』p.30