まずは以下の動画をご覧いただきたい。

 フワッと浮き上がるように上昇し、滑らかに高度を上げていくカメラの映像。「特撮用のクレーンか、専用の設備を使っているのではないか」と思われた読者も多いのではないだろうか。

写真1●仏パロットのBebop Drone
写真1●仏パロットのBebop Drone
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写真2●Bebop Droneはスマホやタブレット専用のアプリケーション「FreeFlight 3.0」で操縦できる。今回の撮影はスマホのアプリを使った。写真はタブレット用のアプリ
写真2●Bebop Droneはスマホやタブレット専用のアプリケーション「FreeFlight 3.0」で操縦できる。今回の撮影はスマホのアプリを使った。写真はタブレット用のアプリ
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 実はこの映像、ドローンを使って撮影したものだ。撮影に使用したのは、無線通信機器メーカーの仏パロットが2015年4月に国内で発売した「Bebop Drone」(写真1)。HDカメラを標準で搭載しており、1920×1080ドットを30fps(フレーム/秒)で撮影可能だ。

 操縦は、スマートフォンやタブレット用のアプリケーション「FreeFlight 3.0」で可能だ(写真2)。機体とはWi-Fi(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)で無線通信する。

 筆者がトライした率直な感想は、個人差はあるが「簡単に操縦できる」というもの。離着陸はボタン一つで指示でき、姿勢制御の機能が安定しているため、前後左右に滑らかに移動させることができる。

自律制御で飛行する“コンピュータ”

 「ドローンとは、コンピュータ制御で自律飛行する、無人の航空機のこと」。こう定義づけるのは、20年以上にわたってドローンの研究を進めてきた千葉大学 特別教授の野波健蔵氏だ。搭載する各種センサーやカメラを使いながら、姿勢制御して飛行できる。

 野波教授はドローンを「空飛ぶコンピュータ」とも表現する。自律飛行のために、コンピュータ技術が集約されているからだ。

 今回撮影に使用したBebop Droneは消費者向けの製品。業用のドローンでは、あらかじめ設定した飛行ルートに沿って、GPS制御で飛行させられる機種もある。