写真●「Google Cloud Platform」を担当するグループ・プロダクト・マネージャーのブラッド・アブラムス氏
写真●「Google Cloud Platform」を担当するグループ・プロダクト・マネージャーのブラッド・アブラムス氏
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 「グーグルの社内にはまだ、『外部化(エクスターナライゼーション)』できるテクノロジーがある」。米グーグルのクラウドサービス「Google Cloud Platform」を担当するブラッド・アブラムス氏(写真)は、記者とのインタビューでそう語った。氏が口にする「外部化」は、グーグルの基本戦略を理解する上で欠かせないキーワードだ。その意味を解説しよう。

 アブラムス氏の言う外部化(エクスターナライゼーション)とは、グーグルが社内(インターナル)で開発した独自技術を、社外(エクスターナル)のユーザーに製品やサービスとして提供することを指す。

 その実例が、「Gmail」や「Google Cloud Platform(GCP)」のようなクラウドサービスだ。グーグルは巨大な検索エンジンを実現するために、独自のストレージやサーバー、データセンター、「MapReduce」のようなビッグデータ処理ソフトを自社開発してきた。これらの技術を基にGmailやGCPは作られており、グーグルの検索エンジンのように大量のデータを高速に処理できることがサービスの強みになっている。

 GCPを担当するアブラムス氏によれば、最近GCPに追加されたサービスの多くも、エクスターナライゼーションなのだという。例えば同社が2014年に開始した、「Docker」のコンテナが利用できる「Google Container Engine」。「グーグルでは長年、アプリケーションの実行基盤に仮想マシン(VM)ではなくコンテナを使ってきた。Google Container Engineは、グーグルが持つコンテナの運用管理技術をサービスとしてユーザーに提供するものだ」(アブラムス氏)という。

 経済学における「外部化」には、あまり良いイメージがない。経済学においては、本来自分が支払うべきコストを他人に押しつけることを「外部化」と言うからだ。工場が汚水などを外部に垂れ流すことを「汚水処理コストの外部化」などと呼んだりする。

グーグルの「外部化」は自信の表れ

 一方、グーグルにおける「外部化」には、グーグルの社内技術に対する自信が込められている。なぜなら、社内技術が既存のIT製品・サービスよりも優れているという自信がなければ、それを社外に販売しようなどとは考えないからだ。