「リピーターが3割増えた」──。こう語るのは、東京都千代田区にある和食居酒屋「花びし」を運営する勝馬(東京・千代田)の宮川壮介 代表取締役だ(写真1)。
弁護士や税理士といった士業の顧客が多い同店は2015年12月から、電話予約の利用客の情報をクラウド上で管理するCTI(Computer Telephony Integration)サービスを導入した。お店に予約の電話がかかってきた際に、利用客の情報を参照する機能がある。
利用するCTIサービスは、2014年設立のベンチャーであるシンカが提供する「おもてなし電話」。クラウド環境はAmazon Web Services(AWS)を利用し、シンカがその上に花びしの顧客情報のデータベース(DB)を構築した。利用料金は初期費用として10万円(税別)、月額は9800円(同)。クラウド環境利用料金や通信料金も含まれている。
おもてなし電話の仕組みは次の通り。店内の電話に着信があると、PBX(構内交換機)がAWS上に発信元の電話番号を送信する。AWS上には、電話番号と紐づけた顧客情報のDBを設けている。AWS上のDBにある発信元の情報と照らし合わせた後、店舗内に設置したタブレット端末に顧客情報を表示する。
「飲食業界の現場で働き始めて23~24年。これまで培ってきた“おもてなし”の心構えとノウハウを、経験の浅いスタッフに少しでも体現してほしい」。宮川氏はこう語る。同氏によれば、20年以上飲食業界で働いた経験があれば、電話越しの声でお得意様の誰かわかるようになる。常連客の好みや苦手な食べ物なども記憶していて、提供する料理にも気を配れる。