ある仕事のため昨年10月から月に数回、かなり長い英文を書き、電子メールで送っている。これだけの英作文をこなすのは高校生以来ではなかろうか。

 送信前に読み直すと文章の大半が“I”(アイ)で始まっており、これは酷いと思うが書き直すのが難しくそのまま送ってしまうことが多い。先方がどういう感想を抱いているか不明だが一応話は通じている。

 今朝、ふとインターネットを検索したところ「explainは他動詞でありaboutは要らない」という説明が出てきた。まさに送ろうとしていたメールの中に“I explain about”と書いていたので慌ててaboutを削除し、送信した。

 過去3年間、英エコノミストの年末特別号を翻訳出版しており、その際編集責任者を務めてきたのでかようなことを書くのはよろしくないかもしれないが英語はやはり難しい。

米国人と英語で交渉してみた

 以上は3月29日にソーシャルネットメディアに投稿した拙文である。コラムをITproや日経ビジネスオンラインで公開した際、その旨を知らせる1、2行の文を書く程度にしかソーシャルネットメディアを使っていないが、このところの英作文で疲れたせいかどうか、珍しく数段落の文を書いて投稿した。

 英作文を必要とした「ある仕事」は二つある。一つはマーケティングに関して米国の専門家と協業することである。協業だから商売であり、お金の交渉はそれに長けた人に頼んだが、それ以外の諸条件は筆者が交渉した。やり取りには主に電子メールを使い、一度だけビデオ会議で相手の顔を見ながら話した。

 「諸条件を交渉した」と書いたものの実際を書くと次のようになる。先方に実施してほしいことを箇条書きし、テキストファイルに収めて送る。先方から戻ってきたファイルを読み、分からない点を書いてまた送る。戻ってきたファイルを読み、質問を送る。この繰り返しでなんとか済ませた。

 20年以上前のことを思い出してみると、海外企業への連絡にはファクシミリか電話を使うしかなかった。ファクシミリの場合、そのつど要件を最初から書かなければならない。テキストファイルのやり取りはずっと簡単である。電話で英語を話し、聞くのは苦痛であった。ビデオ会議で互いの顔が見えるだけでかなり楽になった。

 それでも米国の専門家と筆者との間で話が通じなくなる場面があった。原因はマーケティングにしばしば出てくる、セグメントやターゲットという言葉の意味をこちらがよく分かっていなかったことだ。定義は一応知っていたが具体例についてやり取りしていると頭がついていけなくなる。

 業務アプリケーションソフトウエアを例にとってみよう。セグメントとターゲットを選び、それに合わせてアプリケーションの提案方法、価格、導入支援会社などを含む、マーケティングのシナリオを考える。同一の業務アプリケーションであってもセグメントとターゲットごとに異なるシナリオが考えられる。