「フェイスブック1社だけで、20億ドル(約2400億円)ものエネルギーとインフラストラクチャーに関連するコストを節約できた」――。米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は2015年3月10日(米国時間)、自身のFacebookページでこのように明かした。同社がコスト削減に成功した秘訣は、「Open Compute Project(OCP)」だ。

 OPCとは、フェイスブックが2011年に始めた、データセンター(DC)に必要なハードウエアの設計図をオープンソース化する取り組みである。フェイスブックはOPCを始める前から、サーバーやラック、DCの冷却設備などの自社開発を進めていた。これらの設計図をオープンソースにすることで、他の企業と協力してDC用ハードを開発できる体制を整えた。

 米国ではフェイスブックよりも前に、米グーグルがDC用ハードの自社開発を進めていた。グーグルは自社でハードを開発することで、通常のエンタープライズ向けハードでは達成できない、消費電力効率の向上を実現した(関連記事:グーグルは異形のメーカー)。フェイスブックもグーグルに倣ってDC用ハードの自社開発に乗り出したが、1社だけでグーグルを追いかけるのは非効率だと判断し、OCPを始めたという訳だ。

 フェイスブックの企みは、二つの意味で成功した。一つめの成功は、OCPに参加する企業が後を絶たなかったことだ。クラウド事業者としてグーグルと競合する米マイクロソフトや米ラックスペース・ホスティングだけでなく、金融機関である米ゴールドマンサックスや米フィデリティー・グループなどもOCPに参加した。

 さらに、15年3月に開催された「OCP U.S. Summit 2015」では、米アップルの参加が明らかになった。フェイスブックやマイクロソフトに並ぶ巨大クラウド事業者であるアップルが参加することで、OCPの重要性はますます高まりそうだ。