墜落する玩具ドローンの「いま」

2017/04/03
加藤 慶信=日経情報ストラテジー (筆者執筆記事一覧

 ちょうど1年前の2016年4月11日、千葉県の幕張新都心で「ドローン宅配」の実証実験が公開された。これを皮切りに、2016年は物資を輸送する実証実験が全国各地で行われる年となった。この1年で、ドローンの産業活用に向けた取り組みはかなり活発になった。

 ところが、企業システムとは縁遠いこともあってか、ITproの読者や編集部の記者は、さほどドローンへの関心が高くないように感じる。私自身もそうだった。関心が高まったのは、ドローン宅配の実証実験を取材したことがきっかけだ。

2015年、墜落事故が続発し悪いイメージが定着

 それまで、私のなかでドローンは「玩具レベルの完成度で、簡単に墜落するもの」という認識でしかなった。ドローン宅配の実証実験が実施される以前、2015年の1年は、そう認識せざるを得ないような出来事が相次いでいたからだ。

 最も大きな騒ぎとなったのは、2015年4月に起こった首相官邸での墜落事故。政府の最重要拠点が上空からたやすく侵入できてしまったことは、世間に大きなインパクトを与えた。同時に、この事故が「ドローンは簡単に墜落するもの」という認識を広めたように思う。

 この認識を定着させたのが、翌5月に発生した長野市の善光寺での墜落事故だろう。7年に1度という「御開帳」の行事が執り行われている最中、多くの観光客が集まっていた場所のど真ん中に、ドローンが墜落した。操縦していたのが15歳の少年だったことも、世間に大きな衝撃を与えた。

 2つの事件がニュースやワイドショーで再三、取り上げられ、おかげでドローンの存在は一般の人々にも広く知られるようになった。その一方で、ドローンバッシングとまではいかないまでも、ネガティブな面ばかりが強調され、まるで危険物であるかのようなイメージが広く伝わる結果となった。

 私も、その影響を受けた一人となったわけだ。産業活用など、もってのほか。まずは安全性を確保すべきだと。

2016年、ドローンの産業活用の可能性を実証 ...
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