2020年から始まる小学校でのプログラミング教育は、結局、プログラミングという教科を新設するのではなく、既存の教科の中でプログラミングを扱ってゆくことになりました。

 これはとても妥当なやり方です。真剣に議論すれば、ほぼ間違いなくこの方針に至ると思われます。

 実は、私たち日経ソフトウエア編集部は、職業プログラマー以外の人にプログラミングの面白さや有益さを伝えるにはどうすればよいのだろうかと日々議論しています。しかし、なかなかすっきりとした良いアイデアは出てきません。

 プログラミングはコンピュータを操作するための作業ですが、コンピュータはとても汎用的な存在で、特定の目的を持たないからです。コンピュータは、電卓で行うような計算からデータの集計、ゲーム、コンピュータグラフィックス、科学シミュレーションなど、何でもできてしまいます。よって、プログラミングも極めて汎用的なスキルなのです。

 その中で、プログラミングの題材に何を選ぶべきかにはいつも悩みます。Unityでゲームを作りたいという人にExcel VBAの記事はウケないでしょうし、PHPでWebアプリを作りたい人はC#でWindowsアプリを作る記事を読まないでしょう。

 人の興味は千差万別です。プログラミングでやりたいことも、皆さんバラバラなのです。ですから、私たちは「いろいろな題材を少しずつ扱う」という編集方針をとっています。例えば、日経ソフトウエアの2017年4月号には、Excel VBA、ラズベリーパイの電子工作、Pythonによる金融データ分析、月面着陸ゲームの作り方といった記事が並んでいます。