世はプログラミング教育ブームである。2020年から始まる小学校でのプログラミング教育必修化を見据え、さまざなイベントや取り組みが実施され、関連書籍・ムックも数多く発行されている。

写真1●プログラミング教育に対する取り組みの一例。「官民でプログラミング教育を」という趣旨で「未来の学びコンソーシアム」が2017年3月9日に設立された
写真1●プログラミング教育に対する取り組みの一例。「官民でプログラミング教育を」という趣旨で「未来の学びコンソーシアム」が2017年3月9日に設立された
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 著者は、2013年7月に発行したScratchプログラミングの自習書『小学生からはじめるわくわくプログラミング』および関連シリーズ本の編集などを通して、プログラミング教育についての動向を、比較的身近にうかがえる立場にいる。その立場から、プログラミング教育ブームにどのように対処したらよいかを日々考えている。わくプロシリーズの著者・監修者である青山学院大学客員教授の阿部和広先生にインタビューさせていただいたのもその一環である。

 関連書籍を発行する立場なので、もちろん、「良い本」を作るというのが、その具体的な対処法である。

 では、良い本とは何か。本の目的である「読者となる子供が、より良い形でプログラミングに出会い、きちんと学べる」を果たし、かつ、「しっかり売れる(広く受け入れられる)」というのが、良い本であろう。

 これを拡大解釈して言い換えれば、「なるべく多くの子供がより良い形でプログラミングに出会い学べる場の提供」となる。となれば、これは、次期学習指導要領改訂案に盛り込まれたプログラミング教育の在り方にもつながるのではないか。

 というわけで、本を作る過程で考えた「場の提供方法」を、一般的なプログラミング教育になぞらえて考えてみたい。