東京都が配布する防災の手引き「東京防災」が評判のようだ。黄色い表紙が目を引くハンドブックで、イラストをふんだんに使って防災の備えや被災時の行動について分かりやすく解説しているのが特徴だ。
一部の書店で購入できるほか、東京都のWebサイトからPDF版をダウンロードできる。2015年11月に販売を開始したところ売り切れが続出。16年3月に販売を再開したが、店頭では相変わらず品薄のようだ。
この東京防災と同じ黄色の表紙のガイドブックが、情報のセキュリティ分野でも登場したのをご存じだろうか。内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が16年2月に公開した、「情報セキュリティハンドブック」がそれだ。NISCのWebサイトから無料でダウンロードできる。
こちらも分かりやすさでは負けていない。NISCの女性分析官やその上司、パソコン初心者の子供といったキャラクターが登場し、サイバー攻撃や対策について、丁寧に解説する内容になっている。「ブラックパンプキン」などの悪役キャラまでいる。
NISCといえば、内閣官房で政府における情報セキュリティ政策の司令塔ともいうべき組織。つまりこのハンドブックは、政府が自ら手掛けた情報セキュリティ啓発コンテンツということになる。これほど“柔らかい”コンテンツは珍しい。なぜこのようなハンドブックを作成したのだろうか。
この疑問を解くためのキーマンは、2人いる。