好きと嫌いがよく分かれる記事のタイトル。ネットや新聞、雑誌など毎日いくつとなく目にするなかで、嫌いなフレーズが少なからずある。その一つが「○○元年」だ。

 「メディアなんだから時代を作らなくちゃ」とか、「言ったもの勝ちでしょ」としたり顔で元年をタイトルに持ってきているのなら残念だ。今年が本当に元年ですか、それって何度目の元年でしょう。

 VR元年、ドローン元年、自動運転元年、ブロックチェーン元年、IoT元年、AI元年、CDO元年、LPWA元年---すわブーム到来と、他に先んじたい気持ちは分からなくもない。でも根拠なく、検証もなく、乱発していては、元年詐欺と言われても仕方がない。

(提供=123RF)
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 心配なのは、多くのタイトル候補から「元年」を選んだ時点で、思考停止に陥っていないかだ。ぐるぐる回って、毒にも薬にもならないタイトルにたどり着くダメな例である。元年嫌いは、数年前、ある人と流行の本について話をしたのがきっかけになっている。彼いわく「“○○時代”とタイトルにある本は買いません。雰囲気だけで中身が無いものが多いから」。

 そうはいっても、“元年”を付けたい誘惑は自分にもある。2017年を迎えて頭を悩ませている元年問題が「エンタープライズクラウド」だ。Webサイトやゲームといったコンシューマー向けシステムで活用が始まったパブリッククラウド。日本でも企業の事例は増えてきたが、多くは周辺システムを中心とした軽い用途にとどまる。

 2017年、日本のクラウド活用は、エンタープライズ領域に本格的に突入するのか。ユーザー、クラウドベンダー、SIerの動向から考えてみたい。