2015年1月、仕事始めから数日後のある日。PowerPoint 2013で文書を作成していた記者は我が目を疑った。オンライン画像の検索画面から、「Office.com」のクリップアートの検索ボックスが消えている。

 理由を探ろうとネットを調べてマイクロソフトのブログ記事にたどり着き、クリップアートの提供終了を知った(関連記事:要注意!MSオフィス 「クリップアート」の「ひっそり終了」がもたらす混乱)。1カ月ほど前に発表されていた情報だったが、年末進行で忙殺されていた最中だったためか、恥ずかしながら見落としていた。不覚だった。

 実は記者自身、クリップアートのヘビーユーザーだった。主な用途は、記事中に入れる図版の下絵作成だ。

 IT関連の雑誌の編集をしていると、システムやサービスの仕組みを解説する図版を毎月のように作成する。絵心のない記者にとって、パソコンやサーバー、無線LANアクセスポイントなどの素材が豊富なクリップアートは便利な存在だった。PowerPoint上で、矢印や図形、クリップアートを組み合わせれば、デザイナーに渡す下絵程度なら十分に作成できた。

 ライセンス面で安心して使えることも、記者がクリップアートファンになった大きな理由である。ネット上のコンテンツの利用規約には、表現が曖昧で意味がつかみにくいものが少なくない。その点、クリップアートは明快だった。

 現在は削除されているが、マイクロソフトは以前、クリップアートの利用に関する分かりやすい解説をWebサイトで公開していた。そこには、「プレゼン資料のアクセント」「チラシの隅に入れるイラスト」など、利用可能な使い方の例が明示されていた。「クリップアート自体の販売」「個人や団体のシンボルマークとしての利用」など禁止事項も具体的で、どんな用途ならば利用可能なのかを判断しやすかった。

SmartArtでも同様の現象が

 これほど愛用していたクリップアートが使えなくなってしまったのは、一大事である。しかも記者はOffice 2013のユーザーなので、かなり痛手が大きい。Office 2013には、クリップアートは一切プリインストールされていないためだ。