「『何が何でも取れ』と言うから受注したが赤字プロジェクトに。報告すると『プロマネがなっていない』と叱られた」

 「頭が固く新しい手法の利点と欠点を理解できない。そのくせ『人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)を使え』などと口を出す」

 「今の現場を知らない。自分が現場にいた時の記憶で物事を判断するから常にずれている」

 「親会社に戻りたい気持ちがあるのか、親にはいい顔を見せ、言いなり」

 ITプロフェッショナルが所属先の社長や役員など経営幹部を批判する常套句を挙げてみた。システムインテグレータなどソフト開発会社で、ハードウエアも手掛けるIT企業で、情報システム部門で、情報システム子会社で、似たような発言を見聞きされた方は多いだろう。ひょっとすると理不尽な状況に陥り、思わず自分でつぶやいているかもしれない。

 だが文句を言い続けるのは精神衛生に良くない。愚痴をいくら言っても事態は改善しないから自分なりに手を打つことになる。無理な受注で赤字に陥ったプロジェクトに放り込まれたプロジェクトマネジャーやSE(システムズエンジニア)は、睡眠時間を削りながら立て直そうとする。

 AIやIoTについて「検討中」と答えつつ、情報システム部員やIT企業のSEは自分が目利きした関連する技術を選んで取り組む。現場に合わない社長の要望や指示には従う振りをしつつ、現場の判断で仕事を進める。社長に分かると役に立たないことを言ってくるので、成功するまで報告しない。また、子会社にいる限り、親に振り回されるから転職を考える。

 やむを得ないからやるしかないとはいえ、いずれも窮余の一策である。社長がいる限り状況は改善しないわけで、精神衛生への悪影響は続く。どうしたらよいか。

 抜本的な解決策は社長を取り除くことである。それを他人任せにしたり、わざと業績を悪化させて社長を退陣に追い込んだりするのは後々、精神衛生に響く。後ろめたいことをしたという気持ちがどこかに残るからだ。

 相当強引に話を進めているが、社長に文句がある人はそれを社長に言わず、自ら社長になればよい。