しばらく前の話になるが、1月中旬に東京ビッグサイトで開催された「ウェアラブルEXPO」へ取材に行ってきた。初日の午前中に訪れたにもかかわらず大変な人出で、端末の試用は長蛇の列。いくつかの展示会と同時開催だったが、ウェアラブルEXPOの会場だけはすれ違うのが困難なほど人があふれていた通路もあった。ウエアラブル端末に対する、企業の関心の高さがうかがわれた(写真1)。

写真1●ウェアラブルEXPOでブラザー工業が展示していたヘッド・マウント・ディスプレイの新モデル「AiRScouter WD-200S(仮)」
写真1●ウェアラブルEXPOでブラザー工業が展示していたヘッド・マウント・ディスプレイの新モデル「AiRScouter WD-200S(仮)」
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 身に付けて使う機器という広い意味で捉えれば、ウエアラブル端末はもう何年も前から存在している。ここ2~3年で再び盛り上がっているのは、通信技術や省電力技術の発達、スマートフォンをはじめとするモバイル機器の普及、各種クラウドサービスの一般化などが背景にある。端末を小型、軽量に作れるようになり、ほかの機器と連携させやすくなったことで、端末だけでは不可能な高度な処理が実用的になったからだ。

 現在のウエアラブル端末は、用途で分けるとおよそ四つのタイプがある。一つは「活動量計」だ。脈拍や加速度のセンサーなどを搭載しており、脈拍や移動、消費カロリー、睡眠時間などを測れる。健康管理やスポーツのログ取得に使う。

 データはスマートフォンそのものや、スマートフォンから接続するクラウドサービスに保存。記録や分析結果はスマートフォンなどで見られるようになっているのが一般的だ。日本国内ではドコモ・ヘルスケアの「ムーヴバンド2」やセイコーエプソンの「PULSENSE」、ナイキジャパンの「NIKE+FUELBAND SE」などがある。

 二つめは時計型のデバイスである「スマートウオッチ」。活動量計として機能することもあるが、スマートフォンの補助デバイスとして、スマートフォンに着信したメールなどのメッセージを通知したり、天気や交通などの各種情報を閲覧したりできる。単体で音声通話できるものもある。