主にアジャイル開発の分野で活躍するITエンジニア/コンサルタントの牛尾剛氏と知り合ってから、もう7、8年たつ。最初に会ったのは、当時筆者が在籍していた雑誌のUML(統一モデリング言語)特集向けに寄稿を依頼したときのことだ。同氏には「オブジェクト脳のつくり方(通称:オブ脳)」という、この世界ではよく知られた著作がある。同じノリで、「UML脳はどう作る?」という原稿を書いてもらった。

 頂いた原稿は想定をはるかに超えたボリュームで、全体の量を半分程度に縮めざるを得なかった。でも、こちらがお願いした通り、特集のイントロにふさわしいユニークな内容の読み物に仕上げていただいた。UMLだけでなくプログラミング言語のRubyを使って、オブジェクト指向の考え方からUMLの基本までを分かりやすく説明していた。

 筆者が同氏に抱いていた印象は、オブジェクト指向やアジャイル開発にたけたエンジニア/コンサルタントというもので、それは現在も変わらない。まさか「英語勉強法」に関するお付き合いが始まるとは夢にも思わなかった。

「実は英語勉強法の本を書いているんですよ」

 きっかけは、ある集まりでの立ち話で「実は英語勉強法の本を書いているんですよ」と聞いたことだった。ちょっと意外に思いつつ、興味を覚えた。その後、アジャイル開発に関してメールをやり取りした際に、ついでに書籍について尋ねたところ「既に半分くらいできています」との返信が。しかも、あるITエンジニアが書いたブログのURLも教えてくれた。そこでは、牛尾氏が英会話に関してある会合で講演した内容を詳しく取り上げていた。

 やはりちゃんと話を聞いたほうが良さそうだ。こう感じた筆者は、常駐先の仕事が終わった夜に無理を言って同氏に時間を作ってもらい、「サウンドファースト」や「赤ちゃん脳(英語脳)」、「ダイレクト理解」といった英語勉強法の骨子について説明を受けた。2011年暮れのことだ。

 多くの人たちが悩んでいる英会話の勉強法を、新鮮でかつ分かりやすい形で示している。これはきちんと世に広めるべきではないか。こう考えた筆者は、社内で関係者を巻き込んで、本格的に作業を始めた。それがITpro連載の「アジャイルの流儀で英語に挑戦!」や書籍「ITエンジニアのゼロから始める英語勉強法」へとつながった。