「ソースコードの自動生成ツール」というと、皆さんはどのような印象を持っているだろうか。「これまで何度もブームになっているものの、結局は使いモノにならないのではないか」。こんなネガティブな印象を持つITエンジニアの方も多いのではないかと思う。

 筆者自身、最近まで相当、懐疑的なイメージを抱いていた。「使いこなすのは大変だろうし、実際に動作するソースコードが生成されたとしても、それを保守するのは難しそう」といったものだ。仮に開発が短期化されたとしても、運用や保守を含めたアプリケーションのライフサイクル全体で見た場合、あまり効率的ではないと考えていた。

 ところが実際に今、自動生成ツールを使ってシステムを構築中であったり、すでにシステムを開発し終えたりした企業を取材した結果、このイメージは大きく覆った。

 自動生成ツールは十分、実用的なツールに進化している。そして、自動生成ツールのメリットはアプリケーションの保守性の向上などといった、製造工程の短期化ばかりではないと分かったからだ。

40時間でCOBOL技術者がJava技術者に

 筆者の思い込みを打ち砕いた、数社の取り組みを紹介しよう。まずは富士重工業のシステム子会社であるスバルシステムサービスだ。

 「昔のCASEツールのブームが印象に残っていて、本当に使えるかどうか半信半疑だった」。こう話すのは2016年4月からキヤノンITソリューションズの自動生成ツール「Web Performer」を利用してシステム構築に着手した、スバルシステムサービスの新井稔 開発部開発4課長だ。Web Performerはデータ項目や業務フローなどの設計情報を入力すると、Javaのソースコードを生成する()。

図●キヤノンITソリューションズの自動生成ツール「Web Performer」の画面例
図●キヤノンITソリューションズの自動生成ツール「Web Performer」の画面例
(写真提供:キヤノンITソリューションズ)
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 自動生成ツールの効果に半信半疑だったスバルシステムサービスは、導入の検証に1年をかけた。社内で稼働中のシステムをWeb Performerで生成したり、Javaを知らないITエンジニアがツールを使ってアプリケーションを自動生成したり、といった作業を実施。最初は導入に反対していた社員も実際に動くアプリケーションが生成されているのを目の当たりにし、「導入に肯定的になっていった」と鑓田明 開発部開発4課チーフは振り返る。