グロースハッカーという言葉はこの数年で、インターネット業界を中心に浸透してきた。TwitterやFacebookなど指数関数的にユーザーを伸ばしているシリコンバレーの急成長企業が駆使している手法とあって、ネット企業が取り入れたくなるのは当然だろう。
日本でも、「グロースハッカー募集」といった求人が増えたり、グロースハックの勉強会もよく開催されたりするようになってきた。筆者は、1年半前に『グロースハッカー』という書籍の編集を担当し、このたびバージョンアップした『グロースハッカー第2版』も担当したので、グロースハッカーの浸透をとてもうれしく思う。
今回は、改めてグロースハッカーとは何者なのかということと、ブームのように取り上げられたために一部で広がったグロースハッカーをめぐる誤解について考えていきたい。
グロースハッカーは「科学的」にユーザーを増やす
グロースハッカーとは、簡単に言えば「急成長請負人」だ。『グロースハッカー第2版』ではこう定義している。
ここに書かれているように、グロースハッカーはA/Bテストなどから実際にユーザーの反応を測定する。ユーザーがクリックしたり、登録したりしたくなる効果のあるデザイン、機能、キャッチコピーを検証して採用する。そうして、確実に効果がある施策を使って、やみくもにお金をかけることなく、科学的にユーザー数を伸ばすという画期的なマーケティング手法なのだ。
かつてのように、机の前でマーケターがキャッチコピーを考えて、悩み、一つに絞ってWebサイトやメルマガ、広告に掲載して終わりというのではない。嗜好がどんどん変わるユーザーがどんなコピーを好むのか仮説を立て、結果を検証し、その結果を次に生かしていくのである。
ただし、「グロースハッカー」や「グロースハック」という言葉がバズワードのように話題になった結果、最近ではA/Bテストばかりに打ち込んで効果が出なかったり、費用をかけてはいけないと思い込んだりするようなケースも出ているようだ。