2014年12月20日、筆者は中国・上海に降り立った。目的はリクルートが開催していた「CODE FESTIVAL 2015」を取材するため。そこでのリポートは別で執筆したのでお時間ある際にお読みいただきたい(関連記事:リクルートが巨額を投じてプログラミング大会を開催する理由)。

 筆者は基本的に小心者なので、初めて訪れる場所は非常に緊張する。上海を訪れるのは初めてだったが、実は心強い味方がいた。日経ビジネスの小平和良上海支局長だ。

 日経BP社はニューヨーク、ロンドン、香港、そして上海などに取材拠点があり、駐在員が日々取材に回っている。上海を訪れることを伝えると、小平支局長は快くアテンドを引き受けてくれた。とにかく、滞在期間中は仕事の隙間を見てはフォローアップしてもらい、不安な初めての上海取材を無事に終えることができた。

 ハプニングは最終日、ちょっとした隙に起きた。小平支局長は仕事があっため、謝意を伝えつつ空港へ一人向かった。空港に着くと、使用機の到着遅れを理由に出発時間が1時間半延びていた。どう時間を潰そうかと悩みながらとりあえず空港の建物を出ると、リュックサックを背負った男性が近づいてきた。

 「iPhoneを買わないか?」

 要らないと伝えると、iPhone 6を箱から取り出し、操作をし始めた。カメラを起動させて写真を撮ってみたり、SIMカードを抜き差ししたりして認識していることを見せたりと、とにかく一生懸命だ。怪しいなとは思いつつ、操作してみると画面のスライドも滑らかで特に問題がなさそうだった。

 「日本円で5万円でどうだ?」

 帰国時なのでそんなに持っていない。断って去ろうとすると、食い下がってきた。

 「いくらなら持っているんだ?」

 財布には2万円と200元が入っていた。ほらこれしかないよと見せると、仕方が無いからそれでいいと言う。海外に行く際に持って行くSIMフリー端末が欲しかったのは事実だったし、こちらも手を打った。現金を支払って品物を受け取ると、おまえはラッキーだとかなんとか言いながら去って行った。その間、ものの5分だった。